無事に終演致しました!コロナ明けでひと安心、と思いきや今年はインフルの感染拡大・・・不安を抱えながら当日を迎えるも、さすがの矢邉新太郎サクソフォンリサイタルシリーズ!予想を上回るお客様と沢山の拍手にスタッフ一同感激致しました!

今回のプログラミングは「コントラスト」が隠れた副題になったのではと思います。一部と二部、ドビュッシー/ウェニャンによるそれぞれの狂詩曲,ラプソディー(※ドビュッシーは第一狂詩曲)、そしてクラシック音楽と現代音楽、ジャンルと音楽の流れを汲みつつもその壁を超える世界観が見事に表現されたステージでした。

またインタビューにもあったように、他の楽器を自身のサクソフォンに置き換えて演奏するプログラミングに挑戦してきた矢邉さんが、サクソフォンと近しい存在でありながらもクラリネットの作品が未挑戦だということで、第一部で取り上げ演奏されました。

そして中々聴く事ができないのでは?静岡県内でも類稀な事例になったのでは、というJacobTV のGrab it!という作品。

矢邉さんのラジオに参加させて頂いた際も話しましたが、この曲を始めて知りプログラミングすると聞いて本当に驚きました。放送禁止用語が飛び交う音声(終身刑を控えた囚人たち)に同期する楽器の”声”、癖になる感覚はありつつも、正直恐れました。あとこれどうやって同期して演奏するんだろう、難し過ぎません?と。BravissimoSeriesに関しては、演奏者への熱い信頼と尊敬があるため、私達の役割は物理的なステージの土台作りという役割に徹し演奏者にプログラミングの口出しをしません・・・が、正直今回は迷いました(笑)

でもやるなら、思い切ってやりましょう!という事でダーティな雰囲気作りの照明・出来る限りの音響構築、静岡が誇る総合制作会社 ㈱エスピーエスたくみさんご協力のもと実現しました。この後の曲はウエニャンのラプソディー、まるで何事もなかったかのように明け渡しますよーと仕込みも撤収もスタッフ総動員!

この曲は単純にカッコいい、だけでなく作曲者の明確な意図とメッセージがあります。音源は刑務所の囚人たちを取材したドキュメンタリーの、攻撃的で生命力に溢れる音声です。人の声が感情になると音楽になる―言語は音楽の起源です。サックスを知り尽くしたJacobTVは音楽と言葉の中間地帯をこの作品で探り当てています。これが一部頂いた感想にあった”癖になる”理由なのでしょう。死について感情的に吐かれる死刑囚のスピーチ、”死”が身近にあることで”生”を想うこと、‘memento vivere’ 生きることを想うーこれが本作品のテーマです。音声にこうあります、人生は価値がある。”Grab it!(つかめ)”

それにしてもゲストお二人・曲淵俊介さんのドラムプレイは最高でしたし、三和淳悟さんの安定感あるエレキベースも加わりシンプルにかっこいい!!のお声も多く。

私達はチケットを売るため、色々なキャッチを考えます。至芸の~、○○コンクール、、しかし最終的には来て頂いたお客様ひとりひとりの感想以上の正解はありません。これからも”正しさ”でなく没入感あふれる音楽空間・かけがえのない一瞬の繋がりを提供していきたいと考えております。ぜひ皆さんの感想も聴かせてくださいね!

またライブ配信のためのシンクロ権の著作権処理の中で作曲者とやりとりする機会もあり、ライブ配信リンク共有してねとのお言葉を頂いたり、お話する機会に恵まれました。初めての取り組みは大変な事も多いですが今年のシリーズで得たものは大きいです。

さぁ今年あと残るは1公演のみ、11月25日戸村愛美サクソフォンリサイタルです。初登場となる素晴らしいサクソフォニストさんです、どうぞ引き続きお楽しみください。

【アンコール曲】

F.プーランク:愛の小径

【ご来場の皆さまへ】

特設ページでは今年のBravissimoSeries全公演のアーティスト情報が閲覧でき、随時更新されていきます。ぜひ、ご自身が参加されたコンサート以外の様子も見てみて下さい♪

<技術協力>㈱エスピーエスたくみ、Graspa

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